2020年分路線価が公表

国税庁は7月1日、相続税・贈与税の算定基準となる2020年分路線価(1月1日現在)を公表した。これによると、全国約32万地点の標準宅地の評価額は、全国平均で対前年比1.6%のプラスとなり5年連続の上昇となった。都道県別の変動率の平均値は21都道府県で上昇しており、沖縄県が10.5%上昇で3年連続の全国1位となった。

平均変動率は21都道府県で上昇

都道府県別標準宅地の対前年変動率の平均値については、昨年は上昇が19都道府県だったが、今年は2県増えて21都道府県となった。
昨年も上昇率1位だった沖縄県が、2.2ポイントアップの10.5%で3年連続の1位となり、さらに2位以下を引き離す格好となった。次いで2位東京都(5.0%)、3位宮城県(4.8%)、4位福岡県(4.8%)となっており、上位4位までの順位は昨年と変わらないが、昨年6位の北海道(3.7%)が5位に入った。

2020路線価県別変動率
2020路線価都道府県別変動率
都道府県別標準宅地路線価の対前年変動率

県庁所在地の最高路線価は38市で上昇

都道府県庁所在地の最高路線価は、水戸市を除く46都市で上昇し、中でも那覇市(40.8%)、大阪市(35.0%)、横浜市(34.5%)、奈良市(21.2%)の4都市で、20%を越える高い上昇率となった。

大阪市では、最高路線価のキタ梅田が35%上昇し2,160万円/m²となったほか、ミナミ心斎橋はキタを上回る45%も上昇し2,152万円/m²と路線価でキタに肉薄した。
横浜市はJR横浜タワーが開業した地点が最高路線価となって40年ぶりに地点が入れ替わり、奈良市の最高路線価(奈良近鉄ビル前)は29年ぶりとなる20%超の上昇となった。

2020年県庁所在地最高路線価

全国で最も路線価が高い東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りは、4,592万円/m²と2017年にバブル経済期の記録を更新して以降4年連続で過去最高を更新したものの、変動率は0.7%とわずかな上昇にとどまった。
一方、県庁所在地のうち8市(秋田市、山形市、前橋市、富山市、和歌山市、鳥取市、山口市、宮崎市)は横ばい、水戸市は唯一の下落となった。

2020年県庁所在地最高路線価
都道府県庁所在地の最高路線価

沖縄県は3年連続で全国1位

沖縄県の変動率平均値は6年連続の上昇となり、3年連続で全国1位となった。那覇市の最高路線価(那覇市国際通り)も40.8%上昇し40.145万円/m²となり、こちらも県庁所在地の最高路線価で2年連続全国1位の上昇率となった。なおこの価格は、県庁所在地の中で岡山市に続く全国14位にあたり、人口約30万人の那覇市が、最高路線価においては人口100万人の政令指定都市に肩を並べる高さとなっている。
沖縄県では、ホテルや商業施設用地の需要が高まり、沖縄県内6税務署すべてでも最高路線価が上昇した。沖縄都市モノレールの延伸や那覇空港第2滑走路の供用開始なども、地価上昇を後押ししたと見られる。

また、沖縄本島ばかりでなく、2019年3月にみやこ下地島空港の新ターミナルが開業し定期便が就航した宮古島の西里大通りが、45.8%上昇と県内の上昇率ではトップとなった。
しかしその後、観光業のウェイトが大きい沖縄経済は、新型コロナウイルス感染症の影響によって深刻な打撃を受けており、今後地価の大幅な下落も懸念される。

九州地方は4年連続上昇

地方圏の中では、九州地方で変動率平均値が4年連続で上昇と堅調な動きを見せた。九州7県のうち5県が上昇で、下落した2県(鹿児島県、宮崎県)も下落幅は小さい。特に福岡市を擁する福岡県が4.8%上昇と牽引する形で、佐賀県などの近県にも波及している。福岡市の最高路線価(中央区天神2丁目渡辺通り)は880万円/m²で、これは県庁所在地の中で全国5位にあたる。
また、熊本市や鹿児島市、長崎市でも再開発事業が進む中心市街地などが、地価上昇を牽引している。

26県で下落が続く

一方で、依然として下落が続いている県が26県あり、このうち24県では下落幅が縮小している。
四国地方は4県いずれも下落しており、四国全体で0.5%の下落、28年連続の下落となった。四国の県庁所在地4市は上昇したものの、他の市町村はいずれも横ばいか下落となった。
県別では、秋田県、福井県及び和歌山県の3県が、いずれも1.1%下落と最も下落率が大きい。

新型コロナの影響による地価下落

今回公表された路線価は、1月1日現在のものであり、その後の新型コロナウイルス感染症による影響は反映されていない。経済及び地価に与えた影響は甚大であり、かつ第2波が懸念される中での慎重な経済活動となっている現在、しばらく回復は不透明だ。
特に、インバウンドやオリンピック関連需要を背景とした地価の上昇も多分にあったことから、これらの需要の多くが消滅した影響は計り知れない。

このような状況を考慮し国税庁では、9月に公表される都道府県地価調査の結果を見て、路線価を減額補正することを検討している。納税者の著しい不利益を防ぐことが目的で、広範な地域で地価の大幅な下落が確認され路線価を下回った場合、路線価に調整率を掛けて減額する仕組みになると見られる。
相続が発生した際にも、地価の評価及び減額措置は大きな影響を受けることになることから、今後の動向に特に留意されたい。

国税庁 令和2年分の路線価等について

国税庁 路線価図・評価倍率票