地方圏の生産緑地制度 導入の勧め(3)これまでの経過・実績

30年経過も減少小幅

生産緑地制度は、1991年に三大都市圏特定市の市街化区域農地を対象とする宅地並み課税と併せて導入された。生産緑地地区に指定されれば、農地の固定資産税と都市計画税は農地課税となり、税負担が大幅に軽減される。その代わり、原則として30年間は農地としての適正な管理と保全が義務付けられ、宅地造成や建築行為などが制限される。

ただし、必ずしも30年間土地利用が縛られるわけではなく、主たる従事者がけがや病気、死亡などで営農継続困難となったときは、買い取り申し出が可能となり、行為制限が解除される。

三大都市圏では、当初指定の92年時点で約1万5000haの生産緑地が指定され、その後30年近くが経過しようとしている2019年時点でも約1万20 00haの生産緑地があり、2割弱の減少にとどまっている。一方で、生産緑地を除く市街化区域農地が約3万haから約1万haへと3分の1にまで減少したことからも、制度が都市農地保全に大きな役割を果たしてきたことが分かる。

地方圏の市街化区域農地は相続税納税猶予の免除要件が「20年の営農継続」であるのに対し、生産緑地では「終身営農」となることを不安視する声もある。だが、三大都市圏では終身営農でもこれだけ多くの農地が生産緑地の指定と相続税納税猶予の適用を受けて、30年近く引き継がれてきた実績がある。

都市農地の位置付けが「都市にあるべきもの」に転換されたことを受けて、都市農地を保全するために関連制度も強化された。

17年に生産緑地法が改正され、生産緑地の下限面積を500m²から300m²に引き下げることが可能となるなど、指定要件が緩和された。特定生産緑地制度も創設され、生産緑地指定から30年経過後も、特定生産緑地に指定することで税の優遇措置が継続されることとなった。

18年には生産緑地を対象とする都市農地貸借円滑化法が創設された。貸しても必ず返還され、相続税納税猶予の適用も継続されるので、貸借しやすい仕組みだ。

(日本農業新聞 2021年4月21日掲載)